EC
LPで買えない理由を読む。離脱とカゴ落ちを直す
広告のクリック単価を下げても、商品を良くしても、なぜか注文が増えない。そういうとき、自分はまずLP(商品を売るページ)と購入までの導線を疑います。広告でせっかく連れてきた人が、ページのどこかで黙って帰っている。その帰っている場所を読めるかどうかで、同じ広告費でも残る注文数がまるで変わります。今回はLPの組み立て方と、離脱とカゴ落ちの直し方を書きます。
ファーストビューは「誰の何が解けるか」が2秒で分かるか
LPで一番見られていて、一番落ちているのが最初の画面、ファーストビューです。スクロールせずに見える範囲。ここで読み手は、これは自分に関係あるページか、無いページかを一瞬で判断して、関係ないと思った瞬間に閉じます。広告から来た人の多くは、この最初の画面だけ見て帰っていきます。
だからファーストビューに置くべきは、きれいな商品写真でも会社の理念でもありません。誰の、どの困りごとが、これで解けるのか。これが2秒で分かること。それだけ書いてあればいいんです。乾燥肌の人向けなら「夜塗って寝るだけ、朝の突っ張りをなくす」とまで言い切ります。自分のことだ、と思ってもらえなければ、その下にどれだけ良いことを書いても読まれません。
もう一つ、作り手はファーストビューに情報を詰め込みたがります。あれもこれも伝えたくて、キャッチコピーと成分と価格と権威付けを全部最初の画面に乗せる。そうすると、結局どれも頭に残りません。最初の画面は、誰の何が解けるかの一点に絞ります。証拠も価格も、その下に置けば間に合います。

ベネフィット→証拠→CTAの順で、不安を一つずつ消す
ファーストビューで自分ごとだと思ってもらえたら、その下は読み手の頭に浮かぶ疑問を、上から順に消す並びにします。自分はベネフィット、証拠、CTA(購入ボタン)の順で並べています。
まずベネフィットです。この商品を使うと、自分の暮らしがどう変わるのか。成分が何mg入っているかではなく、それで朝どう変わるか、という変化のほうを先に置きます。次に証拠です。良いことを言われると、人は「本当に?」と身構えます。だから言いっぱなしにせず、すぐ裏付けを置きます。使った人の口コミ、ビフォーアフター、第三者の評価、配合の根拠。自分の場合、主張のすぐ後ろに証拠を置くと、読み手の「本当に?」が消えて次へ進んでくれます。
そして購入ボタンです。買う気になった瞬間にボタンが見えないと、その気持ちは冷めます。長いLPなら、納得が生まれそうな場所、たとえば口コミの直後や価格の説明の直後に、ボタンを何度か置いておきます。ページの一番下まで探させないようにします。
口コミや使用者の声をどう集めて二次利用するかは、UGCとインフルエンサーの活かし方にも通じます。証拠として効くのは、作り込んだ宣伝文より、ふつうの人の生っぽい一言だったりします。

どこで離脱しているかを、数字で読む
LPを直すとき、自分の感覚で「ここが弱そう」と当てにいくと、たいてい外します。直すべきは、自分が気になる場所ではなく、読み手が実際に帰っている場所です。
これはツールで読めます。ヒートマップ(どこまで読まれたか、どこで離れたかを色で見られるツール)を入れると、ページのどの位置でスクロールが止まっているかが見えます。最初の画面で半分が帰っているのか、価格を見せた瞬間に落ちているのか、フォームの手前まで来て止まっているのか。落ちている場所によって、直す中身がまるで違います。
どこで落ちていますか?
最初の画面で大量に帰っているなら、直すのはファーストビューの言葉です。広告で期待させた話と、ページの第一声がズレている可能性が高い。価格の直後で落ちているなら、その金額に見合う理由が手前で足りていない。フォームの手前まで来て止まっているなら、商品ページではなく入力の負担が原因です。同じ「CVRが低い」でも、落ちている位置が違えば、直す場所はまるで別の話になります。
CVRやCPAを数字から逆算して、そもそもどのくらいの転換率が要るのかを見積もる話は、効く広告クリエイティブとKPIの逆算で別に書いています。ここでは、出てしまった離脱を、ページのどこで直すか、に絞ります。

フォームは、項目を減らすほど通る
買う気になった人を最後に取りこぼすのが、入力フォームです。ここまで読んで「買おう」と思ったのに、住所と名前とフリガナと生年月日とアンケートまで求められて、面倒になって閉じる。買う気だった人ほど、ここで失うのはもったいない。
原則はシンプルで、注文に要らない項目は全部消すこと。生年月日は本当に要りますか。アンケートは購入後でいいのでは。職業欄は何に使うのか。一つ項目を減らすたびに、離脱は減ります。入力の途中で「あと何項目あるんだ」と思わせた時点で、半分は帰ると思っていいです。
細かいところでは、入力を助ける作りも効きます。郵便番号から住所を自動で埋める、半角全角を自動で直してエラーで突き返さない、スマホなら数字入力の欄ではテンキーが出る。入力ミスで赤いエラーが何度も出ると、それだけで人は嫌になって離れます。スマホからの注文が大半なので、まずスマホで自分の指で最後まで入力してみてください。自分が詰まった場所が、そのまま直すべき場所です。

カゴ落ちは、理由ごとに置く手を変える
カートや申込み画面まで来て買わずに帰ることを、カゴ落ちと呼びます。ここまで来た人は買う気がかなり高かった人なので、ここを少し拾うだけで注文数は目に見えて増えます。
カゴ落ちには、その場で起きる理由があります。一番多いのが、最後に出てくる送料や手数料です。商品ページでは送料無料だと思っていたのに、最後に送料が乗って「思っていたより高い」と感じて帰る。だから送料や手数料は、カートの最後ではなく手前で見せておきます。あとから足し算で増えるほど、人は損した気分になって帰ります。そもそも送料や手数料を含めた総額を手前で出すのは、離脱対策である前に特定商取引法で求められる表示でもあります。あわせて、配送日数、返品できるか、定期の解約条件といった「買う前に確認したいこと」も、その場ですぐ見えるようにしておきます。
それでも帰った人には、後から声をかける手があります。カゴ落ちした人にメールやLINEで「カートに商品が残っています」と知らせます。届け先まで入れて帰った人なら、なおさら拾える可能性が高いです。ただし送れるのは、メールやLINEの配信に同意をもらえている相手だけです。同意のない宛先に追いかけて送るのは、別の問題になります。買った後の関係づくり全体の話はリピートとLTVの伸ばし方で書いていますが、カゴ落ちのフォローはその入り口でもあります。
カートまで来て帰った人は、あと一歩で買ってくれる人です。送料を先に見せて、帰った後にもう一度声をかける。自分の経験だと、これだけで取り逃しはかなり減ります。

広告→LP→購入で、言葉と訴求を揃える
ここまでLPの中身を直す話をしてきましたが、実は一番大きい離脱は、広告とLPのつなぎ目で起きていることが多いです。広告で「初回半額」と言っているのに、LPの最初の画面では通常価格と成分の話から始まる。広告で「毛穴がスッと」と見せたのに、ページを開いたら別の訴求が並んでいる。来た人は「あれ、さっきと話が違う」と感じて、読む前に帰ります。
来た人の頭の中には、広告で見た言葉と期待が残っています。LPの最初の画面は、その言葉を受け止めるところから始めます。広告でクリックさせた一言を、LPの第一声でそのまま受け止める。広告が「3日で実感」なら、ページの最初も「3日で実感」から入る。広告とLPで言葉が揃っていると、来た人は「これだ」と思ってそのまま読み進めてくれます。
これは広告ごとにLPの入口を分ける、という話でもあります。毛穴の広告から来た人と、乾燥の広告から来た人を、同じ一本のLPで受けると、どちらかが必ずズレます。広告の数だけ、受け止める入口を用意しておく。広告の作り方とLPのCVRを揃えて考える話は広告クリエイティブの作り方とKPIの逆算でも扱っています。LPに書く言葉そのものの磨き方はECのコピーライティングに分けて書いています。

最後に
LPは、一度作って終わりではありません。広告で人を連れてきて、どこで帰っているかを読んで、その場所を一つずつ直す。最初の画面か、価格か、フォームか、カゴか、それとも広告とのつなぎ目か。落ちている場所さえ分かれば、次に何を直すかは自然と決まってきます。
まずは自分のLPを、スマホで広告のリンクから開いて、最後の購入完了画面まで自分の指で通してみてください。どこで読むのをやめたくなったか、どこで入力が面倒になったか。自分が引っかかった場所は、来た人も同じところで引っかかっています。そこが最初に直す場所です。LPをEC全体のどこに置くかは、ECマーケティングの全体像の中で見ると分かりやすいです。