EC
Amazon・楽天モール攻略。アルゴリズムと手数料から逆算する
同じ商品をAmazonにも楽天にも出しているのに、片方では売れて、もう片方は検索結果の下に沈んだまま。手数料を引くと利益が残らず、レビューも増えない。自分が相談を受ける中で、一番よく聞く話です。原因は大抵同じです。モールごとに検索での拾われ方も手数料の重さも合う単価帯も違うのに、同じページを同じやり方で出してしまっているんです。Amazonと楽天を中心に、利益と順位を動かす数字から逆算して攻め方を書いていきます。
モールでは顧客より先に門番に好かれる
ネットのモールには、お客さんの前に必ず門番がいます。検索アルゴリズムです。リアルの小売なら棚に置いてもらうためにバイヤーを口説きます。でもAmazonや楽天では、検索に拾われないとそもそもお客さんの目に商品が入りません。2ページ目、3ページ目に沈んだ商品は、まず見てもらえません。
厄介なのは、この門番が重く見る指標がモールごとに違うことです。Amazonで効くのは販売速度とCVR(購入率)です。短い期間でどれだけ売れたか、ページを訪れた人のうち何%が買ったか。ここが重く効いてきます。
楽天はGMV、つまり流通総額が効いてきます。1注文当たりの金額や件数を含めて、どれだけ売れていくら動いたか。同じ「売れている」でも物差しが別物なんです。
物差しが違うのに同じページを両方に置くと、どちらの検索でも中途半端になります。誰に向けたのか分からないページは、AmazonでもCVRが取れず、楽天でもGMVが積まれません。だから最初からモールごとに作り替えるようにしています。
EC全体の動かし方はEC・D2Cの売上を伸ばす全体像でまとめています。モールでまず押さえたいのは、評価のアルゴリズムが違えば順位が上がる打ち手も違う、という一点です。

どこで売るかで、商品の形も価格も決まる
どこで売るかで、商品の形と価格はだいたい決まってしまいます。売れるEC商品は「逆算」で決まるでも話した、売り場から逆算する考え方です。モールでも同じ。
リテール、つまり実店舗は棚を取れるかどうかで決まります。棚に収まる規格サイズが決まっていて、卸のマージンも40〜60%取られる前提です。だからこの規格やマージンに合わない形や原価の商品は、そもそも棚に載りません。
Amazonは検索順位と手数料で利益が決まります。タイトルやサムネに大きい文字でキーワードを入れて検索で戦う。その一方で保管料も配送料もサイズと重さで決まります。だから自分がよく言うのは「空気を運ぶな」。かさばるのに単価が安い商品は、運ぶたびに手数料に負けます。
楽天は高単価のセットやギフトで伸ばす売り場です。まとめ買いやギフトに合う単価で出して、1注文当たりの金額を大きくするほどGMVが積み上がります。同じ商品でも、Amazon向けと楽天向けの単価は別で考えた方がいい。
商品を作ってから売り場を探すのではなく、売り場を決めてから商品の形と価格を決める。順番をこう変えるだけで、手元に残る利益がはっきり変わります。
Amazon攻略: 販売速度とCVRで親ASINに売上を寄せる
Amazonの門番が判断するのは販売速度とCVRです。ここから逆算すると、出し方はかなり絞れます。
例えばプロテインで3つのフレーバーを売りたいとします。よくある失敗が、3つを別々のASINで単独で出すこと。売上が3つに分散して、どのページも販売速度が上がりきりません。「そこそこ売れている商品が3つ」で終わります。
3フレーバーを一つの親ASINにまとめ、バリエーションとして並べる。そうするとバラけていたレビューと評価が一つのページに積み上がります。レビューが厚いページはCVRが上がりますし、新しいフレーバーも最初から実績のあるページに乗せられます。売上も一つに集まって販売速度が乗るので、3フレーバー全部が上位に出やすくなります。

サムネは、門番の次にお客さんのCTR(クリック率)を取りに行く場所です。商品名を小さく並べるのは、正直もったいないです。中央に「大容量1kg」「30日分」のような、買う理由になる数字を大きく置きます。スマホの一覧でサムネは親指くらいの大きさしかありません。指で隠れる大きさでも一発で伝わる数字を真ん中に置きます。

低単価の商品を単品で運ぶと、手数料に食われて利益が残りません。Amazonの手数料は2階建てで、1出荷ごとにサイズと重さで決まる配送手数料と、販売価格に対して8〜15%かかる販売手数料があります。セットにして1出荷の単価を上げると、配送手数料が薄まって1注文当たりの利益が残ります。ただし販売手数料の率は単価を上げても変わらないので、そこは原価とセットの中身で吸収する前提です。同じ商品でも、3個セットにするだけで1注文当たりの利益が残ります。
楽天攻略: GMVとイベントで積み上げる
楽天はAmazonとはまったく別の頭で攻めます。ランキングが評価するのはGMV、流通総額です。1注文当たりの金額が大きいほど、流通額の総量が大きいほど上位に来ます。だから高単価の商品をイベントに合わせて売り、流通総額を積み上げるのが効きます。
具体的には、3カ月セットで1万円、ギフトで5,000円。バラ売りで1個1,000円を並べるより、まとめ買いやセットで1注文当たりを上げた方が、ランキングで上に来ます。同じ在庫でも、売り方一つで流通総額の積み上がり方がかなり変わります。

もう一つ大事なのが、楽天はイベントが命だということです。お買い物マラソンやスーパーSALEに注文が集中するので、その前提で価格と在庫を用意しておく。
イベント前に値付けとポイントを決めて在庫を厚めに持っておくと、検索順位もポイント施策も効いてきます。通常日だけで回していると、一番売れる山をまるごと取り逃します。
サムネとキーワードでAmazonの検索順位とCTRを取りに行く
Amazonでは、ビッグワードをどう扱うかが順位にそのまま効いてきます。「プロテイン」「日焼け止め」といった検索ボリュームの大きい言葉を、タイトルやサムネのコピーに入れる。狙いは、お客さんに読んでもらう前に、門番へ「この商品はこのキーワードの棚に置くべきだ」と伝えることです。きれいなブランドコピーより、検索される言葉そのものを先に入れます。
その上でサムネのCTRが効いてきます。クリックされると販売速度が上がり、販売速度が上がると検索順位が押し上がって、順位が上がるとまたクリックされます。この回転に一度乗ると、上位に残りやすくなります。だからサムネと、買う理由になる数字の置き方には、自分はいつも一番時間をかけます。

広告も、この回転の中で扱います。追うのは商品単位のTACoS。その商品の総売上に対して広告費を何%使ったかを確認します。広告経由かどうかに関係なく、売上全体に対する広告費の比率で見る指標です。ページのCVRが低いまま広告費だけ足しても、利益が出ないまま広告費だけ膨らみます。
先にサムネとページを整えてCVRを上げる。その上で広告費を入れてCTRと販売速度を底上げします。ページのCVRと広告は、分けずに同じ商品単位で追います。CPAから映像やクリエイティブまで逆算する考え方は効く広告クリエイティブとKPIの逆算に詳しく書いています。
売れる理由を固めてから、モール別にサムネを作る
ここまでの話を実際の進め方に落とすと、なぜ買うか→どのモールでどう出すか→サムネと画像、の順番になります(Concept→Channel→Creative)。自分はいつもこの順番で組みます。
最初がConcept。誰が、なぜこの商品を買うのか、その根拠を固める段階です。実際に買った一人を購入前後の状況まで掘るN1分析で、購入の決め手をつかみます。ここが弱いと、どれだけサムネをいじっても買う理由が伝わりません。
次がChannel。Amazonと楽天それぞれの検索に合わせてキーワードを置き、サムネのCTRと商品単位のTACoSを追いながら整えます。Conceptが決まっていると、どのキーワードでどの棚を取りに行くかも決めやすくなります。
最後がCreative。サムネ、商品画像、商品ページの訴求です。ここで効くのがUGC素材。インフルエンサーに制作してもらった写真や動画を、広告だけでなく商品ページにも二次利用します。
実際に買った人が使っている写真とレビューが並ぶと、お客さんの「自分にも合いそう」という感覚が増えます。素材は最初から二次利用する前提で契約しておきます。最近はマイクロインフルエンサーと中小・個人をつなぐマッチングのサービスもあるので、規模が小さくても素材は集めやすくなっています。ここはインフルエンサーとUGCの活かし方に詳しく書きました。
Concept→Channel→Creativeの順番にすると、サムネをいじる前に「なぜ売れるか」が決まっています。自分はこの順番にしてから、サムネの作り直しがぐっと減りました。
一つだけ強調しておきたいことがあります。Amazon・楽天・Yahoo・Qoo10を担当ごとにバラバラに触るのは、やめた方がいいです。モールごとに評価のアルゴリズムも単価も違います。だからこそ、広告費も人手も在庫もどこに寄せるかは、全モールを横並びにして比べないと判断できません。
最後に
たくさんの店舗の相談を受けてきて思うのは、埋もれている商品の多くは商品自体が悪いわけではない、ということです。出し方がモールの評価アルゴリズムと噛み合っていないだけなんです。Amazonは販売速度とCVRが効いてきて、楽天はGMVとイベントが響きます。門番が読み取っている数字がそもそも違うんです。同じ在庫でも、売り場ごとに単価・セット・サムネを変えるだけで、検索順位の沈み方も利益の残り方も変わります。
だから自分がいつも勧めるのは、まず自社の一番売れている商品を一つ選ぶことです。それをAmazon用と楽天用に、サムネと単価を別々に作り替えてみてください。そこから検索順位と売れ行きの反応を確かめる。回り道に見えて、ここが一番効きます。