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効く広告クリエイティブとKPIの逆算。CPAから映像を決める

クリエイティブを何本作ってもCPAが下がらない。動画を量産しても、当たりはたまにしか出ない。数を打てば当たる、というものでもありません。

自分は広告運用のとき、CPAやCTRといった数字から、どんな映像を撮るかまで先に決めてしまいます。順番を決めておくと、次に直す場所がはっきりします。今日は広告クリエイティブを当てるための、その順番の話です。

先に売り方を決めて、そこから作るものを決める

広告クリエイティブの相談を受けると、いい動画を先に作ろうとする人が本当に多いです。出す場所はあとで考える、という順番です。

自分はこの順番を入れ替えます。先にどこでどう売るかを決めて、その売り方に合う動画をあとから作る。自分はこれをプロモーション・インと呼んでいます。

媒体ごとに、反応が出る見せ方ははっきり違います。InstagramやTikTokで効くのは、スクロールする親指を一瞬止めさせる違和感です。

GoogleやAmazonはまったく別です。検索される大きい言葉が商品名に入っているかどうかで決まります。検索する人は欲しい商品の名前を打ち込んできます。その言葉が商品名に入っていないと、そもそも見つけてもらえません。

媒体を決めずに動画から作り始めると、どこでも使えるように丸めた1本になります。結局どの売り場でも当たりません。先に媒体を決めて、そこで効く見せ方に合わせて作る。自分はいつもここから始めます。

売る場所が変われば、当たる見せ方も変わる。
売る場所が変われば、当たる見せ方も変わる。

上限CPAを25クリックに割ってみる

媒体と見せ方が決まったら、次は数字です。ここは感覚を捨てて、電卓で詰めます。

上限CPAが5,000円、いまのCPCが200円だとします。1件に5,000円までしか払えず、1クリックに200円かかる。それなら25クリックで1件取らないと採算が合いません。

25クリックで1件なら、必要なCVRは4%です。リピーターや指名買いならともかく、初めて商品を知った人の4%が買う。低単価で指名性のない商材だと、新規でこれはかなりきつい数字です。

感覚で「もっと反応のいい動画を」と言う前に、CPA5,000円・CPC200円・25クリック・CVR4%まで数字を割っておく。すると、どこが無理筋で、CPCとCVRのどちらを下げれば届くのかが見えてきます。

漠然と「クリエイティブを良くする」では手が止まります。でも「CVR4%は無理だからCPC側を下げる」とまで言えれば、次にやることが決まる。CPAとLTVと物流の関係をどうつかむかは、自社ECの収益の中身で書いています。

上限CPAから逆算すると、必要CVR4%は新規にはきついと一目でわかる。
上限CPAから逆算すると、必要CVR4%は新規にはきついと一目でわかる。

CVRが届かないなら、入口のCPCを下げる

CVR4%が出ないと分かっても、多くの人はそれでもCVRを上げにいきます。LPを直す、オファーを強くする。大事です。LP側でCVRをどこまで上げられるかは、LPでCVRを上げる打ち手にまとめています。でも新規のCVRを4%まで持っていくのは時間がかかります。当たるまでが読めません。

そこで自分は、入口のCPCを下げに行きます。200円から100円へ下げられれば、5,000円で50クリック買える。必要なCVRは2%です。4%は届かなくても、2%なら手が届きます。

では、CPCを100円にするには? ここでクリエイティブに戻ります。クリック率(CTR)が高い映像を出すと、媒体側で配信が回りやすくなる。多くの場合は同じ予算でもCPCが下がります。ただしクリックした人が買う層とズレていると、CPCは思ったほど下がりません。CTRとCVRはセットで確かめます。

InstagramもTikTokも、反応のいい広告ほど安く配信が回ります。新規のCVRを無理に持ち上げるより、CTRを上げてCPCを下げる方が現場では早いです。だから、CTRの高い映像を作るという話に戻ってきます。

CVRを4%まで上げる道は新規ではきつい。CPCを200円から100円へ下げれば必要CVRは2%まで落ちる。
CVRを4%まで上げる道は新規ではきつい。CPCを200円から100円へ下げれば必要CVRは2%まで落ちる。

CTRを生む映像を、開発に戻して作る

自分がいちばん時間をかけるのがここです。どんな映像ならクリックされるか。毛穴ケアの商品なら、洗い流したあとのスッキリした使用感が伝わる瞬間が、強く手を止めます。気になって最後まで再生してしまう。ここでCTRが出ます。

伝わりやすくするなら、ジェルは真っ黒がいい。黒いジェルが肌の上に乗ると、使う前と後の差が一目で伝わります。ただし化粧品で言える効果の範囲は薬機法で決まっています。見た目の演出と、広告で言っていい効果は分けて、早めに自分で確かめておきます。色はあくまで見せ方で、効果そのものではありません。そこで自分は開発部に頼みます。「炭か泥でいいので、ジェルを真っ黒にしてくれ」。

順番を追ってみてください。商品の中身を、広告のあとから決めています。CPAから逆算してCTRの高い映像が要ると分かる。その映像のためにジェルの色を決める。色を出すために炭か泥を頼む。広告で見せたい映像が、商品の処方や色まで決めているわけです。

「炭か泥でいいので、ジェルを真っ黒にしてくれ」。広告で見せたい映像が決まると、開発部への頼み文句はここまで具体になります。

この「広告で見せたい映像から中身を決める」考え方は、商品企画でもまったく同じです。売れる商品を市場の変数から逆算する話は、10の視点で商品を組み立てる記事にまとめています。

黒いジェルで角栓が取れる映像を起点に、開発部へ「ジェルを黒くしてくれ」と頼む。映像が商品の中身を決める。
黒いジェルで角栓が取れる映像を起点に、開発部へ「ジェルを黒くしてくれ」と頼む。映像が商品の中身を決める。

当たる素材はUGCから探す

映像の方向が決まっても、毎回ゼロから撮るのは工数が重いです。当たりも読みにくい。自分が頼るのはUGC、一般ユーザーの投稿です。

普段の投稿の延長で撮られた映像は、見ている人が広告だと構えにくい。だから反応がいい。作り込んだ広告より効くことすらあります。

大事なのは、頼まなくても撮りたくなる商品かどうかです。黒いジェルで角栓が取れる瞬間のように、撮りたくなる映像がある商品は、放っておいてもUGCが集まります。

集まった素材は、最初からLPや商品ページにも使い回す前提でためておく。同じ素材が、広告ではフックになり、LPでは安心材料になります。

UGCの集め方、どんな商品なら保存やシェアが起きるかは、インフルエンサーとUGCの活かし方で深掘りしています。当たりは撮影のうまさより、「投稿したくなる商品をどう作るか」で決まります。自分の体感では、ここがいちばん効きます。

広告で当たった同じUGCを、そのままLPの安心材料へ回す流れ。
広告で当たった同じUGCを、そのままLPの安心材料へ回す流れ。

KPIは流れの末端に置く数字。目的・目標・戦略と揃える

ここまで出てきたCPA・CPC・CTR・CVRは、どれも戦術側のKPIです。数字だけ良くしても、上の事業の目標とズレていたら利益は出ません。

よくあるのが、戦術の数字だけ追って目標を確かめていないケースです。安く取れる小さい需要ばかり取りにいく。CPAは下がっているのに、伸ばしたかった売上や粗利が増えていない。CPAが下がっても、事業が伸びるとはかぎりません。

だからこそ、広告のKPIは流れのいちばん末端に置きます。目的(何のためにやるのか)、目標(どこまで伸ばすのか)、戦略(限られた予算を誰に、何へ、いくら配るのか)、そして戦術。この順番です。限られた予算を誰に・何へ・いくら配るかの決め方は、KPIを絞って資源を配る戦略の立て方に書いています。

末端の数字だけで喜んだり焦ったりせず、上の目標と揃っているかを毎回確かめる。商品・チャネル・販促を分けずに考える話は、EC・D2Cの売上を伸ばす全体像にまとめています。

CPA・CPC・CTR・CVRは、目的→目標→戦略→戦術という流れのいちばん末端に置く数字。
CPA・CPC・CTR・CVRは、目的→目標→戦略→戦術という流れのいちばん末端に置く数字。

最後に

広告クリエイティブの当たりは、センスや本数だけでは出ません。自分も何度もそれで外してきました。CPAから逆算してCTRの高い映像を決める。その映像のために商品の色や処方まで決める。ここまで来て、ようやく当たりを狙って出せます。

まずは手元の広告で、上限CPAといまのCPCを書き出してみてください。紙でもスプレッドシートでもいい。そこから必要なクリック数とCVRを出して、その数字で本当に買われるかを確かめる。それだけで、次に直す場所がはっきりします。自分はいつも、この計算一枚から始めています。

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